この世の全てのモノは借り物だ

ニート的ミニマリスト幸福論

最高裁は労働基準法を守った

病院と勤務医との間で、残業代未払いの有無を争う裁判があったらしい。

 

年俸は1700万円で、医師側は時間外労働分の賃金が含まれていないから残業代が未払いだと主張していて、病院側は残業代を含むと主張していたそうだ。

 

で、1審2審は病院側を支持した。

 

医師という職業は、労働と研究を時間の隔てなくやっていて時間の裁量ができるため、通常の勤務時間と残業の区別ができないから、というのがその理由だった。

 

区別できない以上はあらかじめお金を上乗せして払っておけば問題ないというものだ。

 

これを最高裁は、労働基準法の原則に立ち返り、通常の勤務時間と残業を区別しなさいという判決を出した。

 

残業代を計算させるために2審に差し戻したらしい。

 

素晴らしい判決だと思うし、1、2審の判決と真逆の結果となったことに恐ろしさも感じる。

 

この医師の残業代未払いを認める1、2審の判決が何故ダメなのか。

 

まず、実際には医師に勤務時間の裁量権はないからだ。

 

 これは他の職種の管理職も同じだけど、実際に勤務時間の裁量がないのに残業を認めないのはおかしい。

 

そもそも病院スタッフは皆シフト制だろう。

 

それなのに医師に勤務時間の裁量権なんて無いに決まってる。

 

あらかじめ決められた時間に通常の勤務をして、論文は平日夜とか休日に自宅で書いているはずだ。

 

これは他の研究職の人にも当てはまると思う。

 

決められた勤務時間以外に病院で通常の仕事をさせたなら残業代を払うべきだ。

 

2つ目の理由としては、時間外労働を認めないとなると、経営者は労働者を定額でいくらでも働かせることができるからだ。

 

いくら高額の年俸だといっても、1700万円だ。

 

これが1億2億とかなら数年我慢してリタイアしようという作戦もありだけど、1700万ではリタイアするほどの貯蓄にはならないだろう。

 

定額使い放題は許してはならない。

 

その先には必ず過労死が待っているからだ。

 

3つ目の理由として、現在似たような研究職っぽい仕事全てに医師の残業代未払い制度が準用されていると思われるからだ。

 

よく、残業代が出ない言い訳として「お医者さんもそうだから」というのが出てくる。

 

実際には研究職とは程遠い私の面接時でも言われたくらいだ。

 

友人は財務部だが似たようなことを言われたらしい。

 

医者と一緒にすんなやボケっ!と思ったが受け入れざるを得なかった。

 

だから今回の最高裁の判決は素晴らしい。

 

医師の労働環境だけに留まらず、他の全ての労働環境に良い影響があると思う。